墓石やベビーカー、掃除機などを模した監視カメラが、Special Services Groupという企業によってFBIやICEといった政府機関に提供されていることが明らかになった。
政策アナリストであるフレディ・マルティネス氏によれば、カリフォルニア州のアーバイン市警に要請を行い、Special Services Groupのパンフレットを入手した。情報公開法を通じて政府へ情報開示を要求する支援を行う非営利団体MuckRockのベリル・リプトン氏も、情報公開法に基づいてパンフレットの入手に成功している。マルティネス氏らが入手した、93ページに及ぶSpecial Services Groupのパンフレット「Black Book」には、カメラを始めとする監視用ツールが多数掲載された。
たとえば、「Tombstone Cam」と名付けられた製品は、墓石に見せかけた、遠隔操作が可能な隠しカメラです。バッテリーは約2日間持続し、音声の録音も可能とのこと。移動も簡単に行えるとパンフレットには記載されています。以下の画像が、実際にパンフレットに書かれていたTombstone Camの紹介文だ。
「Shop-Vac Covert DVR Recording System」と呼ばれる製品は、掃除機に見せかけたカメラで、1TBのハードドライブが付属しています。「掃除機のAC電源コネクターを接続することで長期的に使用でき、モバイル機器にも接続できます」とパンフレットには書かれており、掃除機そのものの機能が備わっているかどうかの説明はない。
他にも、アラーム時計に見せかけたムービー・音声記録装置や、小さな木の幹や岩のように見せかけたカメラ、ベビーカーの中に隠されたカメラなどもSpecial Services Groupのパンフレットに記載されていました。「墓石やベビーカーを隠しカメラとして意識したことはない」とマルティネス氏は語っている。隠しカメラ以外にも、パンフレットには監視用のカメラやレンズ、建物に侵入するためのICカードを複製できるツールなどが載っていたそうだ。
Special Services Groupにコメントを求めたところ、同社の弁護士から「パンフレットは国際武器取引規制(ITAR)によって保護されている」と主張するメールが送られ、パンフレットの内容を公開しないようマルティネス氏らに求めました。
また、メールには、「パンフレットに含まれる情報には、著作権で保護された資料、秘密取引に関わる情報など、公開により公開当事者が民事および刑事責任を負う可能性のある情報が含まれている可能性があることに留意してください」と書かれており、弁護士は「パンフレットを公表することで、誰もが危険にさらされる」と主張したものの、その主張を裏付けるような具体的な内容はメールには記載されていませんでした。
しかし、アーバイン市警によって「Special Services Groupのパンフレットは公開しても安全であり、公開は『公共の利益』である」と判断され、パンフレットが公開されることになりました。
Special Services Groupは、記事作成時点で自社製品を公には宣伝していません。同社のウェブサイトには「お客様の重要な使命のために、製品情報をウェブサイトに掲載していません。詳細については、当サイトの連絡先からお問い合わせください」と書かれている。Special Services Groupは、主に法執行機関や政府機関にサービスを提供しているものの、必ずしも国家組織の独占的なサービスではないとされている。
マルティネス氏は、「私が最も懸念していることは、監視カメラのコスト、サイズ、機能についてです。カメラは常に安く、小さく、有能になり続けており、法執行機関だけが手に入りやすく隠しやすい監視カメラを使うとは限りません」と述べている。