Twitterの従業員が政府に買収されスパイ行為に加担していたことが明らかに

サウジアラビア政府への批判を繰り返す活動家の個人情報を入手するために、サウジアラビア政府の役人がTwitterの従業員を買収し、スパイ行為を行わせていたことが明らかになっています。

サウジアラビア政府のためにスパイ行為を働いていたのは、Twitterの元従業員であるAhmad AbouammoとAli Alzabarahの2人と、2人とサウジアラビア政府役人との間の仲介者となっていたAhmed Almutairiの3人。AbouammoとはAlzabarahはアメリカ司法省に起訴されています。アメリカ市民のAhmad Abouammoは、2019年11月5日に連邦捜査局(FBI)の捜査を妨害するために請求書を偽造した容疑で逮捕されました。サウジアラビア国籍のAli Alzabarahは、2015年にサウジアラビア政府に代わって6000以上のTwitterアカウントの個人情報にアクセスしたとみられています。
報道によると、Alzabarahによるスパイ行為のターゲットとなっていたのは、サウジアラビア政府を批判してアメリカに亡命したものの、サウジアラビア領事館内で暗殺されたと推測されているジャマル・カショギ氏と近しい関係にあったジャーナリストのOmar Abdulaziz氏を含む、サウジアラビア政府に批判的な声をあげている活動家たち。

なお、カショギ氏は2018年10月に消息不明となっており、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が暗殺を命令したのではと報じられています。

AlzabarahはTwitterで働いていた際に、上司からユーザーの個人情報にアクセスしたことを指摘され、その事実を認めています。しかし、あくまでも好奇心から行ったことであると主張していました。しかし、TwitterはAlzabarahを休職扱いとし、同氏の使用していたノートPCを押収しています。その翌日、Alzabarahは妻と娘と共にサウジアラビアへ帰国しており、それ以降アメリカには戻っていないとのこと。

3人にスパイ行為を命じたのはサウジアラビアの政府役人であるBader Al Asakerという人物で、匿名の情報源によると、Asakerの慈善団体であるMiSKがムハンマド皇太子の配下にある組織であるとのこと。法的文書によると、Asakerはスパイ行為のためにTwitterの従業員の育成を行っていた模様。Twitterでメディアパートナーシップマネージャーとして働いていたAbouammoとAsakerは2014年後半にイギリス・ロンドンで会談しており、それから1週間もたたないうちに、AbouammoによるTwitterの個人情報への不正アクセスが行われるようになったとのことです。

アメリカ司法省は、Asakerがスパイ行為の見返りとして、Abouammoに対して30万ドル(約3300万円)の支払いと約2万ドル(約220万円)のHUBLOTの時計を贈ったと指摘しています。

ワシントンポストはTwitterの元従業員によるスパイ行為について、「批評家を特定し、その声を抑圧するためにアメリカのソーシャルメディアプラットフォームを悪用する、という海外からの圧力を強調するものです。また、シリコンバレーのテクノロジー企業が、反体制派やほかのユーザーの個人情報を抑圧的な政府から保護する能力を持ち合わせているのかについて懸念が生じ始めている」と記しています。なお、2019年には2019年香港民主化デモ(香港デモ)を鎮静化させるために中国政府がSNS上で情報操作を行っていることも問題視されています。

なお、TwitterはAlzabarahによるスパイ行為について声明を出しており、「この調査に対するFBIと米国司法省の支援に感謝します。 私たちは、悪役が私たちのサービスを弱体化させようとすることを認識しています。当社は、機密性の高いアカウント情報へのアクセスを、訓練を受け吟味された従業員による限られたグループに制限しています。Twitterを駆使して世界と意見を共有し、権力の座にある人々と対抗しようとする多くの人が直面する信じられないほどのリスクを理解しています。私たちは彼らのプライバシーと彼らのバイラルな仕事をする能力を保護するためのツールを用意しています。我々は平等、個人の自由、人権を擁護するためにTwitterを利用する人々を保護することに注力していきます」と述べています。

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